【完】淡い雪 キミと僕と
暴走は留まることを知らなかった。
思ってもいない事が次々と口から出てくる。
「おい、」と隼人に肩を掴まれて、目の前にいた美麗が瞳いっぱいに涙を溜め、拳を握り締めているのにやっと気づけた。
ゆっくりと立ち上がり、雪を乱暴に俺から奪い、出ていけ!と叫んだ。
静まり返った室内で、美麗の言葉だけがこだました。
いつものように冗談で睨みつけるとか怒るとかって類では決してなく、本気で青筋を立てて怒っている。まるで本気で軽蔑した、と言わんばかりに。
瞬く間に家から追い出された俺と隼人。力なく、美麗の家の前に立ち尽くす情けない俺。
「馬鹿か、お前は」
「本音じゃなかったんだ…」
「そんなのは、知っている。だから馬鹿だと言うのだ、お前は
煽った俺も悪かったが…」
冷たく閉ざされた扉が、無言で自分を責め立てる。
ぼんやりとその場に立ち尽くすだけで、何も出来なかった。
言ってしまった言葉は訂正出来ないだろう。それだというのに、何故思ってもいない事を言ってしまったのか。
それだけ、自分でも分からなかった。本当の大馬鹿野郎は、美麗でもなく誰でもなく、俺だ。