【完】淡い雪 キミと僕と

「まぁ、捻くれているのならばわたしも同じか…」

雪に問うと、やっぱり嬉しそうにミャミャー鳴いて、わたしの足元をぐるぐると回る。

憎めない!好き!八方美人だろうが、誰にでも懐こうが、あなたはやっぱり天使なのだわ!愛しているのよ。愛しいのよ。癒されるのよ。やっぱり可愛いのよ、あなたは。

「山岡さん、さっきから携帯が鳴りっぱなしですよ」

月曜日から、最悪の週明けの始まり。お昼。休憩室でコンビニのサンドイッチを食べていると、向かい合う千田ちゃんがテーブルに置かれていた携帯を指さし、言った。

「本当にうるさいわね、充電なくなっちゃう…」

「あ、充電器持っていますよ。貸しましょうか?」

「ほんと?千田ちゃんって本当に気が利くわぁー。うるさいから電源切って、充電しておこうっと」

あれから土日は携帯が鳴りっぱなしだった。

ずっと無視をしていたら、上から下まで西城さんの着信。電話に出ないと判断すると、次はメール攻撃。全て未読無視。

それでも画面上に途中まで表示されるメッセージを見ると、謝罪と言い訳めいた言葉がずらずらと並べられた。着信から、メッセージまで全ては西城さんの名前で埋め尽くされた。知らない人が見れば、これはストーカー案件になるだろう。

それでもそのメッセージは一通たりとも開かずに無視を決め込んだ。中々に執念深い女だとは自分でも思う。


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