【完】淡い雪 キミと僕と
『それはそれはご丁寧にありがとうございます。でもそんな気遣いは結構ですので、彼はわたしが港区で遊んでいた事はもう知ってるし、それ以前にわたしは彼には振られていますので』
『ああ、それは失礼。古傷を抉るような真似をしてしまい、心から反省しております。
まぁ元気出せ。港区に繰り出せば、いつか君の理想通りの素敵な男性が現れるかもしれない。
まぁその頃には君は商品価値のない婆になっているかもしれないが』
『ほんっとムカつく男ね。それにしても、やっぱりあなたと井上さんが並ぶと井上さんの方がスタイルが良くて素敵だわ。
あなた、ちょっと井上さんを見上げていたでしょう?惨めね』
『本当にアンタはムカつくクソ女だな~。俺は別に小さくもねぇよ。平均よりかは高いくらいだ。あいつが大男すぎるんだろ』
『ひとつだけお聞きしたいんですけども』
『何?』
『あなたは井上さんの好きな女性と何か関係があるのですか?』
『琴子は、俺の好きな人だ』
高橋琴子。
彼女と再び会う事になるのはもう少し先の話だ。わたしの記憶が確かならば、井上さんや西城さんに選ばれるような女性ではなかった。
それは見た目だけの話だったが、どうしてあの子なの、そう思ってしまうくらい。
だけどわたしには無くてあの子にはある物が沢山あるから、きっとふたりは彼女に恋をした。
三角関係のヒロインなんて、きっと選ばれた人間にしかなれないだろう。
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