【完】淡い雪 キミと僕と
ママがキッチンからやってきて、食卓テーブルに料理を並べる。
何も言わなかったのに、3人分用意してくれていて、心がホッと温まった。
それに今夜はわたしの大好物の鶏の唐揚げ。ママの手作りのドレッシングの季節のサラダ。ジャガイモのお味噌汁はわたしの1番好きな具材だ。さっすがはママ!母親って本当にすごい。
そんな事を思い返していたら、この間聞いた西城さんの恵まれなかった家庭事情を思い出した。
「雪ちゃんったら本当にいい子なのッ。
ご飯もいっぱい食べるし、おしっこもきちんと自分のトイレに出来て、何よりママの事が大好きみたいなのよ?!」
ママは嬉しそうにそう話す。それに負けじとパパが雪への愛を語り出す。
いや、雪をそこまで可愛がってくれるのは嬉しいんだけど、ね?
「何を?!雪は俺に1番懐いてるようだぞ?雪なぁ~、俺のお腹でさっきまで寝ていたんだよぉ~
好きなんだろうなぁ~俺が~」
「あら、それはパパのお腹が出ているから気持ちが良いんじゃないの?」
「それならママのお腹の方が出ているだろう…」
「何か言った?」
「何も言っておりません。ママはとても美しい。な?雪ぃ~!」
相変わらず仲良し夫婦。
その間で雪はどちらにもおべっかを使って、ふたりの笑顔は今にもとろけてしまいそうだ。
だからパパには言わないでおいてあげるわ。
…雪は誰のお腹の上でも寝るのよ。特に男の人の広いお腹が大好きみたいなの。そう、西城さんのお腹にも小さな頃から乗って、寝ていた。