【完】淡い雪 キミと僕と
久しぶりの実家でのご飯。家族団らん。パパとママと話すのも楽しかったし。上げ膳据え膳。幸せすぎる。
ついついご飯をおかわりしてしまって、全て食べ終えた頃には動けなくなってソファーにだらしなく横になる。雪もわたしの横にちょこんと座り、体を丸めた。
今日はもう実家に泊まって行っちゃおっかなぁ~。
雪の適応力はすごいし、パパにもママにも懐いているみたいだし。
たまにはいいよね。あ~それにしても良いわ~。パパの新聞を読む姿も、ママのキッチンで洗い物をする音も、心地が良い。ここにいるとわたしは愛されていると実感する。
でも…西城さんは?ふと思った。
そう一瞬思い、考えるのを止めた。連絡もぱったりとなくなったし、諦めたところだろう。
「そういえば美麗」
「ん~?何~?」
「さっき夕飯を食べていくのか聞こうと思ってあなたの携帯に電話したんだけど、繋がらなかったわよ?」
バッとその場から起き、仕事用のバックの奥底に埋まっていた携帯を手にする。
’なにごと、なにごと~?’と雪が隣でわたしのバックの中を覗き込んでこようとする。
画面は真っ暗になったまま時を刻むのを忘れていた。
そうだ。お昼に千田ちゃんとご飯を食べている時、余りの西城さんの連絡がしつこくって電源切っちゃお~って言って…そのまんまだった。
恐る恐る携帯の電源をつけると…着信50件。メッセージ56件。
マジで、ストーカー。中身は開いていなかったけれど、恐らくその大半が西城さんの物だろう。
最新のメッセージが携帯の画面に浮かび上がる。『待ってるな』たった一言だけだった。