【完】淡い雪 キミと僕と
西城グループと篠崎リゾート。これから先業務提携をし、お互いの事業を拡大していく。
今日は関係者各位が集まり、懇親会という名のパーティーがホテル内で開かれていた。父の後をついて、挨拶回りをする。
祖父は忙しそうに動き回っていた。彼もまた、年齢を重ねる度に魅力を重ねて行くタイプなのだろう。それに比べ、自分の父はどうだろう。やはりどこか頼りなく、社長といった器ではない気がする。
家庭でもうだつが上がらない男であるのならば、せめて仕事くらいは…と自分の父ながらに思ってしまう。
「大輝くんは、とても会長に似ているね、容姿も雰囲気も」
「そうですか?自分ではあまり意識をした事はなくて、でも人からはよく言われるのできっと似てはいるんでしょうね」
「会長はとても君に期待を寄せているようだ。私も一度会ってみたかったから今日はとても嬉しいよ」
「こちらこそ、光栄です。いつも、篠崎さんのお店は利用させて頂いております。
雰囲気も料理もとても素敵で、行きましたよ。新店の「とりごや」。個室の造りがとても凝っていて、日本の美しさを感じました。
昨今は海外からのお客様もとても多い。きっとうちのホテルに入ったら、喜んで頂けると思っております」
まぁ、美麗の子豚の母親が作った唐揚げとサラダには負けるがな。とはさすがに口が裂けても言えないが。篠崎さんの創り出すお店はとても雰囲気が良い。
和食洋食何でも手を出す雑食とも言えるが、日本料理店は特に素晴らしい。
言い方は変だが、アーティスティックな経営者なのだと思う。
この人はきっと古くからの日本文化が好きなのだろう。彼の経営するお店には、そんな強い拘りが垣間見える。