【完】淡い雪 キミと僕と
「いえ、お母さんの料理は本当に美味しいんです。このハンバーグは特別な調味料などをいれて味付けをされてるのですかッ?!」
「全然よぉ~オイスターソースとケチャップと砂糖とみりん。ごくごく一般的な物しかいれてないのよぉ~
でもそんな風に褒められると悪い気はしないわぁ~」
「おいおい、ママ、その気になるなって。西城さんは世界のさまざまなグルメを食べておられる方だ。
社交辞令に決まっている」
「いえ。社交辞令でもなく…本当に美味しいんです。僕は、こういった家庭料理を食べた事がないので…」
そこまで言ったら、3人同時に同じ顔をするもんだから、少し笑えた。
哀れみというのだろうか。同情に近かったのだろうか。
幼き頃から、母親の作る家庭料理は食べた事がないのは事実だ。家政婦さんが作ってくれる料理は、子供だった俺にはいまいち口には合わない物ばかりだった。
「本当に…美味しいと思います…。
うちの料理長として、ホテルに迎えたいくらいです」
「もぉ~ほんっとに大輝くんは口が上手ねぇ~ッ!
ほら、もっと食べて食べて、おかわりは沢山あるんだからねぇ~。それにあなたは少し痩せすぎよぉ?
最近の子は皆痩せすぎねぇ。美麗もいっつもダイエットダイエットって」
「ママ、うるさいってば!それに西城さんは小食なんだから無理に食べさせないでよ?!可哀想でしょう?」
「あらあら、美麗は大輝くんの事をよく知ってるのねぇ~」
「だからそういうんじゃないってば!」
「ありがとうございます。おかわりいただきます」