【完】淡い雪 キミと僕と
「良い子じゃないの。」
「だから、誤解なんだってば!西城さんとはただの友達…、友達でもないけど…」
「ほぉら、友達じゃないんでしょう~?」
「違っ!そういう意味ではなくて、わたしは彼に雪を押し付けられたただの知人なの!
それをふたりして寄ってたかって、西城さん迷惑していたじゃないの!」
「もぉ~…そんなに照れなくてもいいのにぃ~。
それにしても素敵な人ね、ハンサムだし、礼儀は正しいし、お坊ちゃまなはずなのに、わたしたちの話に嫌な顔ひとつせずに付き合ってくれて。
それに動物嫌いなあなたが猫を飼うなんて初めはびっくりしたけれど、そういう訳だったのね」
だからどういう訳だっつーんだ。そこに深い理由なんてないし、雪は可愛いけれど、ただ押し付けられただけだって言ってるのに。
大きな誤解をしてしまっている。
確かに西城さんの顔は整っている。けれどわたしの前では決して礼儀の正しい男とは言えなかったし、嫌な顔をひとつママたちの話に付き合ってくれたのだって、彼が身に着けているであろう処世術だろう。
後で何を言われるか分かったもんじゃないわ。
きっと小馬鹿にして、いつもの調子で両親の文句を言うに決まってるわ。あんな奴にわたしの過去をベラベラと喋って、恨むからね?
ハァーと大きなため息をついて、恨めしそうな目でママを見つめるけれど、ママはニコニコとご機嫌で「わたしが後20年若かったらねぇ」等と戯言を言う始末。わたしの深いため息は止まらない。
こんな予定では、無かった。
パパとママに見送られてゆっくりと西城さんの高級車は動き出す。
ふたりの事も恨んでいるけれど、1番恨んでるのはあなただからね?!
ふたりきりになった早々、文句は止まらなかった。