【完】淡い雪 キミと僕と

あれから季節が夏から秋に移り変わり、ひとつの季節が終わったのだ。

そして雪が来て、3か月の時間が流れた。雪はといえば…

「ミャーッ!」

とても大きくなったと思う。子猫の成長は思っているよりずっと早い。

未熟児として産まれ、母猫に捨てられた雪は他の兄弟猫よりも小さかったという。多分、初めて来た日は200グラムちょっとしかなかったんじゃないかん?

弱々しくボロボロで、まるで失恋したてのわたしのようだった。

けれど、とても元気になった。顔もしっかりとしてきて、体重は1、5キロまで増えた。ご飯もとても食べる食欲旺盛な猫で、このままではデブ猫になってしまうのではないか?とすら思う。

あんなにみすぼらしかったのに、顔立ちも綺麗で…親馬鹿かもしれないけれど、そんじょそこらにいる猫よりはよっぽど可愛いのでは?と思う。

それには珍しく西城さんも同意してくれた。

と、いうよりかは彼の方がずっと猫馬鹿なのだと思う。’雪より可愛い猫はこの世にいない’と言ってしまえるのだから。


3か月を過ぎて、ゲージ内にいれておけば、仕事中くらいならばひとりでお留守番も出来るようになった。それはつまり、西城さんの力は必要がなくなったという事。

雪はまだわたしの家にいる。それはつまり、この子はわたしの猫っていう事で良かったのよね?

今更、雪を誰かに譲るなんて気持ちはなかったけれど、それを言えば西城さんはそれを否定し「俺の猫だ」と言い張るのだ。

けれど、わたしと雪を引き離す事はしなかった。

と、言う事であなたの役目は終わりよ。わたしの薄給でも猫のひとりやふたり養っていけるわ。雪の為なら、何でも辛くなんかないわ。だから、あなたとはもうさようなら、よ。と思っていたのに。


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