【完】淡い雪 キミと僕と

「雪~ッ玩具買って来たぞ~」

何故かこの男は、未だに家に来る。

それも毎日のように。

昼間の仕事が忙しくなってしまったので、雪がひとりでお留守番出来るようになったのは丁度良いと言った。だから安心したのだ。もうこの男と関わらずに済む、と。

彼も彼で、会わなくなれば雪への想いも消えてくれる事だろう。

猫を好きになったのならば、違う猫を飼えば良い。けれど来るのだ。毎日のようにそりゃーやって来るのだ。

それどころか、返してよと何度言っても合鍵さえも返さないのだ。

「また来ているの?」

「俺の猫に会いにきて何が悪い。ほら、雪のご飯も沢山買って来たんだ。子猫用のおやつつーもんもあってなぁ」

「ちょっとー!雪がデブ猫になっちゃうッ。体重管理は大切だってネットでも見たのよ?
可愛い可愛いってご飯やおやつあげすぎていたら、あっという間にデブ猫になってしまうのだから」

「いいじゃねぇか。雪はデブになってもきっと可愛いよ。それより美麗ママからご飯食べにおいでってラインが着ているぞ」

「またぁ?!」

「おお…。明日は美麗ママのご飯を食べに行くんだ。秋の味覚サンマときのこの炊き込みご飯を用意してくれてるんだって。楽しみだよなぁ」

何が楽しみなもんだ。

ママたちに会った日、彼はこっそりママとラインの交換をしてやがった。何故教える?!それは互いに言いたかった事だけど。

そして、週に何回か、彼に付き合って実家に帰り、ママのご飯を食べるのだ。彼に付き合っては、おかしい言い方だ。だってあそこはわたしの実家な訳なんだし

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