【完】淡い雪 キミと僕と

パパもパパで、休日に何故か西城さんとドライブに行ったりする。

これもちっとも理解出来ない。そしてふたりで西城さんの趣味であるサッカーをしたり、パパの入っている社会人野球チームにも顔を出してやがるときたもんだ。

パパは元々スポーツが大好きな人だし、西城さんもスポーツ万能なのは、知っていた。息子にスポーツを教えるのが夢だったんだって、何やら満足そう。

と、いう訳で何故か西城さんと両親の交流は続いている。わたしにとって見たら、彼はただの知人なのに。

’迷惑でしょう?’彼に訊いた事がある。

けれど彼は「全く」と言って「寧ろ嬉しいし、楽しい」と言うのだ。

そして実際、ママとパパに会う時の西城さんは、楽しそう…なのだ。子供みたいな顔をして、ふたりと楽しくお喋りしているのだ。何が楽しいのか全然分からないけど。

いつの間にか美麗ママ、美麗パパと呼ぶようになり、このままだったら皆で旅行にでも行きましょうよぉ~、とかママが言い出さないか心配だった。

「美麗パパと野球をするのは中々楽しい。俺は断然サッカー派だったのだが、野球も中々悪くないって思う。
今度一緒にプロ野球を観戦しようと約束をしたんだ。それならば関係者にVIP席を用意すると言ったら、野球とは庶民が楽しむものだと言い、勝手にチケットを用意してきた。
一般席の何とも見ずらしい場所だった。でもそこで人々とくっつき、生ビール片手にユニフォームを着て騒ぐのがおつなのだと、美麗パパは言っていた」


「VIP席で見る方がずっと快適に思えるけど…アンタ…パパに洗脳されてるわよ」

「でもなぁ…美麗パパが俺の分だってチケットを買ってきてくれたんだ。その気持ちが嬉しくってなぁー…。
お金を払いますって言っても、彼は俺からの金は絶対に受け取らないんだ」


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