【完】淡い雪 キミと僕と
0.雪『それから―三か月後―』
0.雪『それから―三か月後―』
おかあさんは、ぼくにだけミルクをくれない。
いつだって仲間外れ。
一緒にいた兄弟たちはぼくを無視して
いつだってひとりぼっち。
とってもさびしかった。
誰からも無視をされる。
悲しくて
悲しくて
うれしいことはひとつもなかった夜に
初めて、さいじょーさんがぼくを抱き上げて
そのうれしさの余りについつい温かい気持ちになって
お漏らしをしてしまった。
さいじょーさんは時々ぼくに会いに来てくれて
ぼくはさいじょーさんのお腹の上に乗るのが大好きなのに
さいじょーさんはいつだって顔をしかめたまんま。
でもね、さいじょーさんはとっても優しい人だから
ぼくはいつの間にか人間が大好きになってしまったの。
でも美麗ちゃんはもっとだいすき。
だから大好きな美麗ちゃんとさいじょーさんが幸せになれるように
魔法をかけてあげたよ。
「お前は八方美人だ」
そう言ってさいじょーさんはぼくを褒めてくれるから、とてもうれしい気持ちになるの。
人間がだいすき。
でも美麗ちゃんとさいじょーさんはもっとだいすきなの。