【完】淡い雪 キミと僕と
「そんな人が許嫁なの?てゆーか今の日本に許嫁といった制度が本当に存在するの?」
「まぁ、本人たちの気持ち次第って所もあると思うが…
この間のパーティーで菫さんに会って、彼女は偉く俺を気に入ってるようでなぁー…。
そういえばこの間のパーティーで一緒に写真を撮ってくださいと言われ、その画像が彼女から送られてきた。全く持って欲しくはなかったんだがな。
見るか?」
「見るッ!」
かなり食い気味だったと思う。
西城さんは携帯を弄り「ほら」とこちらにそれを差し出す。
画面の中では、西城さんが見た事もないような笑顔を見せる。いつも見せるような意地悪そうな笑顔なんかではなく、どこか大人びた微笑みだ。
そして、その隣に写っていた女性は。
「美人じゃない…女優さんか何かかと思った…」
「そうなんだよな、まあまあ美人さんだ」
綺麗な人だった。いつか上には上がいると思ったもんだ。
女優さんといっても可笑しくはないような女性が、西城さんと肩を寄せ合って笑っている。
綺麗なだけではなかった。どこか気品が溢れるような人。これはきっと、生まれながらのお嬢さんでないと出せない雰囲気なのだと思う。
そして肩を寄せ合うふたりは、とてもお似合いだった。
「しかし困っている。いつかはこんな日が来るんじゃないかって何となくは分かっていたけれど…
ちっとも好きじゃないんだ」
「ちっとも好きじゃないって。だってふたりで会ったりはしてないんでしょう?」
「まあな。言葉を間違えた。ちっとも好きになれそうにないんだ。
綺麗だし、性格も良さそうなお嬢さんだったけど…」
「そんなの、分かんないじゃない…」