【完】淡い雪 キミと僕と
「はぁ?!」
「あの子はお前が思っているほど馬鹿でもない。
美麗が馬鹿なのだとすれば、お前の方がよっぽど大馬鹿だ。
なぁーにがネットで中傷されただ、仲の良かった友達と喧嘩しただ。中傷されるのが怖いならばネットで活動なんかしなければいいだけの話だ。
怒って互いの事を暴露しようなどというのは友達でも何でもない。
それに美麗は馬鹿でも陰で他人の悪口を言うような人間じゃない」
そこまで言ってしまい、これはまずったと思った。案の定友理奈は顔を真っ赤にして、怒りで拳を震わせている。
持ち手まで火が届いてしまった煙草を、これでもかと言う程なじるように灰皿に押し付ける。ふわりと宙に煙が舞って、直ぐに消えた。
綺麗に口紅をひいた唇を噛みしめ、歯からはギリギリとした鈍い音が響く。
やはり、美しい女が怒りに歪む顔とは醜い。
「何?!大輝くん、美麗の事好きなの?!」
「だから何故そういう話になる。俺はあいつを好きなんて一言も言っていない」
「でも庇うような事は言った!あたしが馬鹿で、美麗が馬鹿じゃないって言った!」
「それは真実を述べただけだろう。
何だ?真実を突かれたから、怒っているのか?」
「はぁ?!ムカつく!あんたなんてちっとも好きじゃないし、ただのセフレにしてやってるだけなんだから、あんまり調子に乗らないでよね?」
「そうか、俺もお前とはただのセフレだと思っている。気が合うな」
何を言っても友理奈を怒らせるばかりだった。
結局は欲求満たされぬまま、家を追い出される始末になり、彼女の最後の捨て台詞がコレだ。