【完】淡い雪 キミと僕と
「あんたなんて西城グループの息子じゃなかったら誰も相手にしてないわよ!」
最も過ぎる言葉に、何か笑えた。
そんなこんなで、俺はひとりセフレを失ってしまったようだ。
それもこれも、全部美麗のせいだ。
友理奈の言葉を流す事も確かに出来た。彼女の言葉に同調して、良い顔をしていれば、今日の欲求を満たす事位は出来ただろう。
美麗の悪口など放っておけばいいのだ。言わせておけばいい。陰で誰に何かを言われようと、彼女の価値が下がる話ではない。
…けれど、許せなかった。
そんな感情を抱くなんて、それこそ自分にびっくりだ。
彼女が陰で誰にどんな悪口を叩かれようと察して興味はない。だが、陰で彼女があの大きな瞳から涙を流すのは嫌だった。笑った顔が泣き顔のような女の、涙は見たくはなかった。
季節はひとつ移り変わって行った。その中で、変わりゆく気持ちもあった。
俺は、山岡美麗という女を全く嫌いではないと気づいた。苦手な部類であるのには変わりはないし、かといって苦手でもなくなりつつあったのだ。
それどころか、俺は…アンタと一緒にいる時間が、実は楽しい。
こういった感情を何というのか、俺には上手く説明が出来ないんだ。君に伝えたら、君は一体どんな顔をするのだろう?