【完】淡い雪 キミと僕と
9.美麗『何とも思ってない女にそういう事は余り言うべきではないわ』
9.美麗『何とも思ってない女にそういう事は余り言うべきではないわ』
『アンタのせいだ』
全く身に覚えのないクレームが入ったのは、篠崎リゾートの一人娘篠崎菫と彼がミュージカルを見に行ったという日の深夜だった。
すっかり寝込んでいたもんだから、その連絡を受け取ったのは早朝だった。
『何よ、いきなり』
雪にご飯をあげて、自分の朝ごはんである美容ドリンクを飲んでいたら、直ぐに返信は返って来た。
こいつ一体いつ寝てんの?!本人はショートスリーパーだと言い張る。
だから1日数時間程度の睡眠で大丈夫なのだと。…絶対長生きしないだろう。わたしはきっかり8時間寝るタイプだ。
『今日は行く』
返信はそれだけ。
だからアンタのせいだ、の返信をして欲しいものなのだけど、話を聞かないのは彼のデフォだからもう気にはならない。
それに篠崎リゾートの一人娘とどうなったのかも訊いてみたいものだ。
それは興味本位といっただけで、別に彼と彼女の関係がどうなってるのかが気になるわけじゃないのよ?
けれど、惚気話なんてされてしまったらどうしよう。いや、惚気話でも結構。鼻で笑ってやるだけなんだから。
『今日は来てほしくないものだわ。ママに教えてもらった炒飯を作ろうと思っていたところだから』
実は昨日、実家に帰ってママから炒飯の作り方を教えてもらった。
要は材料を切って炒めるだけの簡単料理だから、わたしでも出来そうだった。
西城さんが今日家に来るならば、ご馳走してあげるつもりだった。そう思って帰りに2人分の材料を買い込んできたのだ。それだと言うのに、メールでは正反対の言葉が出てしまう。