【完】淡い雪 キミと僕と
「はぁ~…ダイエットしてるのに顔に肉がついてきちゃったぁ~…。
それに寝不足のせいかな、今日の肌は絶不調」
いつの間にか化粧を終えた美麗は鏡に向かって独り言を言っている。
あのテーブルの上に並んでいたガラスの瓶に入っている化粧水などは本当に全部使ったのか?!それを洗面所まで抱えて片付けている。
女とは大変な生き物だ。それには思わず関心してしまう。
「ダイエットなんてしなくてもいいと思うがな」
「はぁ?!アンタに言われたくないよ」
冷蔵庫から栄養剤のような物を取り出し一気に飲み込む美麗が悪態をついてきた。
全く黙っていれば可愛い女なのに、どうもこうも気が強くて敵わん。
「’美麗ちゃん’はもう少しこの辺とかこの辺が主に肉を付けた方がいいかと」
ジェスチャーでその場所を示すと、顔を真っ赤にして「セクハラよ、最低!」と怒鳴る。
いや、実際に美麗は華奢なのだ。胸とか尻うんぬんの前に、全体的にもう少しふくよかでも良いと思う。
それじゃあ、ガリガリだ。けどまぁ、女という生き物はいかに痩せているかも美しさのバロメーターらしいから、更に下らん。
「ほんっと、朝から嫌な気分だわ~~」
「そうかい?俺も朝からこんな犬小屋みたいな部屋に閉じ込められて中々気分が悪いぞ?」
「こうなったのは誰のせいだと?!」
「済んだ事を今更言ったってしょうがいないじゃない。
そうあんまカッカッとするな。
もしかして生理か?」
そこまで言うと「最ッ低!」と顔を真っ赤にさせて、ソファーにあった花柄のクッションをこちらに投げつけてきた。
子猫に当たらぬように無意識にガードをしたら、それは俺の顔に直撃した。