【完】淡い雪 キミと僕と
…どうして、わたしを抱いたの? その問いかけに対する、返事は怖い。
’別に?’とか
’気分’とか
’何となく’っていう返事が返ってくる予感しかしないんだもの。そんな物に処女を捧げたってある意味惨めじゃないの。
「まさか、アンタが処女だったとは…」
だからさー。何で悪びれもなくそんな無神経な言葉口に出来るんだか。
「うるさいなぁッ!べ、別に大切に守ってきた訳じゃないもんッ。
わたし、結構モテてたし、付き合ってきた彼氏だって数人いたんだけれど…なんかこの人じゃないって気がして
だから初めては大好きな人とって!!」
西城さんのぽかんとした顔。
バカバカバカバカ。これじゃあ、この言い方じゃあ、まるでわたしは西城さんを好きですと言ってしまってるのと同義ではないか。
「そうじゃないわッ。あなたが好きな人といった事ではないから勘違い止めてくれる?!
わたしも最近じゃあ25歳にもなる女が処女ってのはすこーしだけ痛いかなって感じ始めていたのよ!
だから要するに、わたしはあなたを利用して処女を捨てたって事で」
だから何を言っているのよ?!利用した、とか、捨てたなんて言葉が悪すぎるし、それは西城さんにも失礼よ。
けれど、目の前で横たわる彼はクックと小さく笑う。
「アンタは青くなったり赤くなったり忙しいな。
信号機かよ」
「違うのよ。本当に…言いたい事が全く見当たらないわ…」
「それよりも大丈夫か?痛くなかったか?」