【完】淡い雪 キミと僕と
だからこんな時にわたしの身体の心配とか…。そんなのされたら、大事にされていると勘違いもしたくなってしまう。
分かっている。理解しているのよ?処女が何を偉そうにって言うかもしれないけど、あなたに全く気持ちが無かった事くらい。
何人もセフレがいて、遊びで女を抱けるような男だから、こんな事特別な訳じゃないって。だからわたしは勘違いしないように、今必死に自分を言い聞かせているの。
それに、昨日のあなたは明らかに様子がおかしかったもの…。
「まぁ大丈夫そうか。俺は上手だからな。初めてにしては気持ちが良かっただろう。」
「だからアンタってなんで平然とそういう事言うの?!」
「やっぱり駄目だったか?俺のテクのせいではないと分かって頂きたい。
何分俺の息子がデカすぎるのに問題があるのかもしれない」
「だから!!!そういう問題じゃなくって!」
あんな事があったのにも関わらずこいつはいつもと変わらなくて、悶々と色々な事を考えてしまっているこっちが馬鹿らしくなるじゃない。
…けれど、昨日の西城さんは始めは強引にわたしを押し倒したかと思えば、その後の行為はとても優しいものだった。
直ぐに不慣れな事を見抜き(だって初めてだもの、当たり前じゃない)その後は、何となく初めてってのが雰囲気で分かったらしく、何度も’大丈夫か?’と訊いてくれて、そして優しくゆっくり…
ああァァァ!わたしってば何て事を考えてしまっているの。
初体験は、彼が言っていた通り余り痛くはなかった。
デカさ云々の話は、彼しか経験がないから分からない。
気持ち良いか、と問われれば、それは微妙。相当パニックになっていたし、自分の身に起きている事がいまいち整理出来なかった。
…けれど、人の温もりはとても暖かいものよ?それが気持ち良いと言うのならば、彼の言う通り気持ちは良かった…かも…知れない。