【完】淡い雪 キミと僕と
「老人や子供になんかも優しくって。人を決して差別したりしないタイプの子なの。でもわたし、そういうタイプの子って苦手で…。絶対陰では人の悪口ばっかり言ってるんでしょうって。上辺だけ良い顔してって。
受付に来る取引先の冴えない男になんかも良い顔しちゃって、ばっかみたいって!
けれどね、ある日会社でトイレに入っていた時の話なんだけど…違う部署の女の子たちがわたしの悪口を言ってたわけなの。
昔から女の子から嫌われるのは慣れっこだし、陰口を叩かれるのも普通にあったから気にしちゃいなかったんだけど
たまたま千田ちゃんがトイレに入ってて、山岡さんはそんな人じゃないってわたしを庇ってたの…
あぁ、この子って素でそういう感じの子なんだなぁって思ってたら、余計自分が馬鹿らしくなってね。
きっと幸せになれるのは千田ちゃんのような女の子なんだなーって思ったら…」
「アンタもそれほど悪くはない」
「わたしなんて、人の事を容姿やお金でしか見ていなかった…」
「けれど井上晴人と出会ってその考えは変わっただろう。
アンタは前に比べたら良い意味で変わったよ」
「そうかしら…。それでね、今度その千田ちゃんとノエールに一緒に行こうって話をしていて
わたし、あんまり友達がいないから何か楽しみで…。っていってもわたしもノエールに早々来る事もないから、下見っていうか。
だから、ありがとうね!」
そう言ったら、西城さんはまた優しく微笑んでくれた。
本当は、心の暖かい人なんだと思う。
わたしも、出会ったばかりの頃はこの人のステータスやお金しか見ていなかった。
それには、今少しだけ後悔している。