【完】淡い雪 キミと僕と
「あ、新作のパンケーキですね?!どうですか?!」
「はい、とっても美味しいです。甘すぎずって感じで。見た目もすごく可愛らしいです」
「本当ですか?女性の意見はとっても参考になるの。わたしも商品開発に携わっているから、とても嬉しいわッ」
その瞳を見て、仕事にやり甲斐を感じ、本当に好きなのだなぁと思った。全てを手にしている大企業のお嬢様の癖に性格も良いとは…。やっぱり神様って不公平よね。
「でも失礼します。プライベートの時間をお邪魔してしまいごめんなさい。ごゆっくりしていって下さいね。
大輝さん、また連絡しますね」
そう言い残し、彼女は再び店内の中へ帰っていった。
新作のブランドのワンピース。派手ではないけれど、とても品があって彼女に似合っている。
そしてお揃いのブランドのヒールは、汚れもひとつない程綺麗だった。その靴を履き、背筋を伸ばし歩く後ろ姿まで美しい人だった。
西城さんは少しムッとしながら「アンタのせいだぞ」と小声で言った。
「全く、ノエールに来たいだなんて言うから」
「別に、ただの’友人’ですし、なんの問題もありはしないと思いますけど?
それにしても本当に素敵な人ね。顔も綺麗な人だけど、性格もとっても良さそう。アンタなんかには勿体ない位の人じゃない。
それにあのワンピース、とてもよく似合ってた…」
「まぁな。
何だ?あのワンピースが欲しいのか?食い終わったら買いに行こうか?」