【完】淡い雪 キミと僕と
10.大輝『好きとか、嫌いとかの問題じゃないでしょう…。俺の結婚は』
10.大輝『好きとか、嫌いとかの問題じゃないでしょう…。俺の結婚は』
『今日はまさかノエールで偶然会えるとは思っても見ませんでした。
一緒に来ていた女性の方、とても可愛らしい人でしたね。
ところで今度父が是非一緒に食事をしたいと言っているのですが、どうでしょうか?
良かったら大輝さんのお父様もご一緒にと言っていますが、都合の良い日がありましたら、連絡下さい』
何だと言うのだ!
菫のメッセージも返信せずに、携帯をテーブルの上に乱雑に置き、大きなため息。
苛々する。トントン、とテーブルで指を叩く度に、ワンワンキャンキャンと馬鹿犬4匹が一気に競い合うように吠え出す。実に耳障りだ。雪はもっと、可愛らしい声でピアノを奏でるように可憐に鳴く。
もっと見習えんもんか、と馬鹿犬4匹を睨む。そうすると更に馬鹿犬たちはヒートアップし、我先にと言わんばかりにワンワンキャンキャン鳴き出した。
「うるさい!!」
怒鳴りつけるとぴたりと犬たちは鳴くのを止め、一斉に恨めしそうな瞳をしたかと思えば、再び騒ぎ出す。
「うるさいのは、お前だ。人の家に来て、うちの大切な愛犬たちに絡むな」
隼人は呆れたような声を出し、目の前のソファーにどかりと腰をおろす。
「おい、」
「何だ?」
「お茶くらい出せ!」
「知るか!勝手にきといてどこまで偉そうなんだお前は。
茶くらい勝手に冷蔵庫から取り出して飲め!
お~ミルクたち~怖かったね。よしよし良い子だからなー」