【完】淡い雪 キミと僕と

…それに何が気にくわないって、1番気にくわないのは美麗の態度だ。

なぁ~にが、’お互い忘れましょう’だ。えっらそうに!

タワーマンションの最上階だろうが、ヴィトンの新作バックだろうが、サンローランのワンピースも。

ハリーウィンストンのネックレスも、お前が欲しいと言うのならば、何でもプレゼントしてやろうとは思っていたのに…。

それを全部いらないと言い張り、終いには’わたしもあなたの事なんてちっとも好きじゃないし’だと?馬鹿にしてんのか。

お前は好きでもないような男に処女を捧げるような尻の軽い女だったか?!大体処女だった癖に、お互いに忘れましょうなんて大人ぶった事を俺に言い放つとは。

本当にムカつく女だ。何だ?俺の気持ちは無視か?これじゃあ俺がただやり捨てされた男じゃないか。

「美麗はまぁ…何でもない。雪と一緒に楽しそうな毎日を送っている」

「それはそれは結構。今度遊びに行こう。家は知っている」

「だから!お前は美麗のタイプじゃないと何度言えば分かるッ」

「それはお前の独断と偏見であり、美麗ちゃんの言葉ではない。美麗ちゃんからハッキリと言われた訳でもない事を鵜呑みに出来るか。
俺と何度か会えば彼女だって好意を抱くかもしれない。
そして好きになった途端、風俗へ落とす。あの手のタイプはよく稼いでくれそうだ」

「悪魔!!!!」

「なんて、冗談だ。
それより何をそんなに苛々している」


冗談か本気か分かったもんじゃない。美麗がデリヘルなんて冗談じゃない。隼人ならやりかねないから怖いのだ。

女を自分に惚れさせ自分のお店に落とすなんて、お前の世界なら常套句だろう?

キッと隼人を強く睨むと、また彼は呆れた顔をし、チワワの頭を撫でた。


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