【完】淡い雪 キミと僕と
俺が美麗を好きだと?思わず失笑してしまう。
お前が望むのであれば、まだ相手してやっても良いと思っていた所だ。
好きな物を買い与え、だってお前にだって欲しい物は沢山あっただろう。なんていったって欲深い女だ。
そこまで言うのなら、だ。タワーマンションで雪と悠々自適に暮らし、ヴィトンでもサンローランでも俺のカードで好きに買い物をすれば良い。
お前の身体は中々悪くなかった。
だから後、数回。いや…数10回。いやいや…数100回。いや、むしろ…数1000回
あァ!俺はなんて事を考えてしまっているんだ!数1000回も関係を重ねて行ったら、それこそじじいばばあになってしまうではないか。
遊びで抱く女は使い捨て。だから大切にする必要なんて一切ない。 それなのに、こんな事を考えてしまっている俺はどうかしている。
これじゃあまるで…俺が美麗を本気で好きみたいじゃないか。
…こんな気持ちになってしまうならば、美麗の事を抱かなければ良かった。あの夜、美麗の代わりの女なんて幾らでもいた。それでも俺は、美麗に会いたかった。
あの日は…美麗でなくては駄目だった。彼女にだけは手を出さないと決めていたのに…。だって美麗は、俺が抱いていいような女ではない。…けど、かといって…
「あれはねぇよ!」
俺のいきなりの叫びに、隣にいた父はビクッと肩を上げた。
「何だ…?今の会議になんか不満でもあったのか?」
「いえ…何でもないです」