【完】淡い雪 キミと僕と

「いいじゃないの、携帯くらい。 美麗好きでしょう?かっこよくって、社長の息子ってステータスを持っているような男」

その声は、少し小馬鹿にした感じがして、ムッとして友理奈の目を見つめる。その態度が彼女は気に入らなかったのだろうか。眉をひそめ、少しだけ顔をしかめる。

「わたしは、別に…」

「だって西城さんと会ってるでしょう?」

耳元で囁くように言うその言葉。突然の彼の名にドクンと心臓が飛び跳ねる。

何故…?何故友理奈がわたしと西城さんが会っているのを知っていると言うの?

戸惑っていた。そしてかなり焦った顔をしていたかと思う。そんなわたしの表情を見て、彼女はくすりとまた小馬鹿にしたように嘲笑った。

「美麗、知らなかった?わたしと西城さんって、そういう関係なの。何か黙ってたみたいで申し訳ないわ。だって美麗、西城さんの事とても気に入ってたみたいだから。
わたし達、ずっと関係は続いてるの、もう結構長くって。彼はよくわたしのマンションに来るのよ。
それで美麗の話は聞いていた。面倒臭い女だって言ってたわよ。でも利用出来るからって、猫を預けているんだって」

わたしは、何も知らない。 西城さんが友理奈とそういう関係だって事も。

確かにわたしは面倒臭い女で、彼はわたしを利用していたかもしれない。だからって、陰で自分の女にわたしの事、言う必要ないじゃない。

ムカつく、というよりかはとても悲しかった。 優しさも、あの夜の事も、全部嘘だった。そんなの分かってたよ。

面倒な女が処女を自分に捧げたって、どうせ陰で馬鹿にしていたんでしょう?


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