【完】淡い雪 キミと僕と
「知らないわよ、アンタの背中なんて」
いや、さっきアンタがベッドから突き落としたんだろう?知らない振りとは少し苦しいぞ?俺が優しい奴で良かったな。酷い奴だったらアンタは今頃傷害罪で訴えられている所だ。
「寂しくて泣いてるに決まってる。
早く迎えに行ってあげなくっちゃ…。雪が不安がるわ…」
さっきまでの様子を見ている限りそうでもないと思うが?
「まぁ取り合えず落ち着け。
まずは美麗ママに電話でも掛けて見ろ。たまには雪も人の家にお泊りも悪くない」
何故か美麗に物凄い目つきで睨みつけられ、渋々と携帯を片手に母親に電話を掛け始めた。
「あ、もしもし…。ママ?うんうん、そう雪が…今すぐ…
え?!……へぇ~…あっそう。
分かったわ。明日の朝迎えに行きます…」
美麗ママは電話でも元気いっぱいのようで、大きく明るい彼女の声は駄々洩れだった。
’あらー美麗ちゃんー?
雪ちゃん預かってるわよぉ~。大輝くんが雪ちゃんのトイレやらご飯やら全部用意しておいてくれてねぇ~
そうそう、雪ちゃんったらご飯も全部食べてねぇ。すっごく元気いっぱいで家中走り回ってて~
疲れちゃったみたいで、パパのベッドでパパと一緒に眠ってるみたいなの~ウフフ~寝顔も可愛いわぁ~
起こして連れて帰るのも可哀想だから、今日は一晩泊めてあげなさいよ~’との事。
予想通り。
美麗は電話を切り澄ましたような顔をしてこちらを向いた。
「何か、雪はとても寂しがっていたようだけど、やっと眠ったみたいだから今日は一晩実家に泊めてあげる事にするわ。
’寂しかった’みたいだけどパパもどうしても一緒に寝たいって言うから。迎えは明日の朝にお願いするわ」