【完】淡い雪 キミと僕と

「プッ、ハハハハッ。」

’寂しかった’をやけに強調していたようだが、アンタと美麗ママの会話はこっちに駄々洩れだった。それを何を偉そうに。

声を上げ笑うと、美麗は顔を真っ赤にして「何よッ」と口癖みたいな言葉をまた使う。泣いたり怒ったり、全く読めん女だ。


ひとしきり笑い終えた後、やっと美麗の機嫌も直ったのか俺に釣られ彼女もまた笑う。雪の事もあって安心したのか、ふんわりとした笑顔を浮かべた。全く…泣いて怒ってみて、突然優しく笑って見たり。

…本当にお前は可愛い女だ。

ん?可愛い?そんな、冗談だろ?

おいおい、さっきから俺は何を自分でノリ突っ込みてしまっているんだ。

これじゃあまるで俺が美麗の一挙一動に振り回されて、まるで美麗の事が好きみたいじゃないか。

馬鹿馬鹿しい。

「では、俺は風呂に入るとする。湯を入れてくれ」

「はい?」

「何だ?せまっ苦しい風呂だが湯に浸かると言っている。さっさとお湯を張れ」

「何でよ」

「今日は走り回り少し汗をかいた。なんだ?俺が先に風呂に入るのは不満か?かといってアンタの入った後の汚い湯にでも浸かってしまえば俺の綺麗な体が穢されそうだ。
仕方がない。アンタがそこまで言うのならここは妥協してふたりで入るのを許そう」

「何言ってんのよ…。馬鹿なの?何でわたしがアンタとお風呂に入らなきゃいけないのよ。
それよりお風呂は家に帰ってから入ればいいでしょう?」

「なん…だと…?今日は泊っていくつもりだったのだが?」

「はぁ?何で?雪も居ないし…何より泊る理由がないじゃない」


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