【完】淡い雪 キミと僕と

確かに現在美麗のマンションにあの可愛らしい雪はいない。

何といっても喜んで尻尾を振り山岡家に行ったかと思えば、すっかり美麗パパのベッドで一緒に眠っているらしい。…雪の体に美麗パパの加齢臭がつかないかだけが心配なのだが。

アンタは家に泊る理由がないと言ったな?俺にだって無い。別に泊りたいとも思っていない。しかし今日は色々な事があり、疲れた。今から車を運転し、都内に帰る人間の気持ちも考えろよ。少し考えれば分かるだろう、この馬鹿が。

それにさっき、アンタにベッドから叩き落された背中が大分痛む。これは恐らく…骨をやっていると思う。そう考えれば泊る理由には十分値すると思うが?

「た…いたた……」

「え?!」

その場に蹲り、大袈裟に背中が痛い振りをする。 すると美麗はびっくりしたようで大きな目を更に大きくさせ、大丈夫?!と言い、俺の側に寄り添った。

ちょろいなアンタは。そんなに騙されやすかったら詐欺師に引っかかるぞ?まぁ美麗を騙そうとするような詐欺師がいるのならば、顔の原型が分からないほどぶん殴ってやるけれどな。

「さっきアンタにベッドから突き飛ばされた背中が痛む…。これじゃあ運転出来そうにもない…」

「えぇ~ッ。ごめん…ごめんなさいってば。さっきは雪の事でパニックになっちゃってついついアンタをベッドから落としちゃったけど…
そんなに痛むなら救急車を呼んだ方がいいんじゃないのかしら?」

俺のついた嘘に、彼女は本気で心配をし、その場で悩みだした。

やっぱり真面目だな。そういう所も…とても可愛らしい。
って

だから俺はさっきから何を考えているんだ。どうかしてるぞ?!


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