【完】淡い雪 キミと僕と
「これは…?」
「この間CUに仕事用のカーディガンを買いに行ったら安売りしていたから買っておいたの。
だってアンタうちにいる時スーツとか着てて楽そうじゃなかったから」
「俺の為に……」
思わず胸がジーンとしてしまった。けれど美麗はまた顔を真っ赤にして「アンタの為にじゃないから」と可愛げのない事を言う。
「たまたまだからッ。セールで1000円だったの!
どうせお坊ちゃまのアンタにしたらCUで洋服?!とか、着心地が悪い!とか文句をつけるんでしょうけど」
「びっくりだ。1000円で人間の洋服が買えるなんて」
「だから世間知らずのお坊ちゃまは。着たくなきゃー着てくれなくて結構。フンッ」
「いや、中々着心地は悪くない。それにCUはファストファッションを取り扱っている一流企業だ。その価格でこのクオリティーの物を作れるとは実に素晴らしい」
何よりも美麗が俺の事を想って買っておいてくれたのが、嬉しかった。
「それはそれは、良かったですねぇ~。まぁいつもお世話になる事もあるから誕生日プレゼントという事で」
「覚えていてくれたのか?!」
「いや、知らんけど。適当に言っただけだし。って誕生日いつだっけ?」
「10月7日だ。天秤座のB型」
「って、もう過ぎてるじゃんー!!とっくに!
もう言ってくれれば良かったのに。その日確かうちにいたんじゃないの?
そんなの誕生日プレゼントなんて嘘よ。今度何か欲しい物があったら言って?
…天秤座B型の情報はいらなかったけどね。それにしてもアンタと同じB型なんて最悪ー…」
美麗は顔をしかめそう言った。何と!同じB型だったとは…。こんな偶然早々あるものか。