【完】淡い雪 キミと僕と
12.美麗『わたしそんな幸せそうな顔をして笑っていた?』
12.美麗『わたしそんな幸せそうな顔をして笑っていた?』
ショートスリーパーと言っていた話はやっぱり嘘なのだ。
朝になってアラームが部屋中響き渡り、カーテンの隙間から燦燦とした朝日が差し込んできても、彼は全く起きる気配が無い。
それどころか、わたしを抱き枕にし、身体に絡まった両腕はかなりの力で外れそうもない。 それでもこの体温に身を委ねる事は、彼を好きだと気づいてしまった今、幸福なのだ。とても悔しいけれど、好きな人に抱かれ起きる朝はこんなにも気分が良い。
彼の腕の中、覗き込むように顔を見上げる。
邪気の全くない、偉く純粋な寝顔だったと思う。口を開けば悪態をつきわたしをからかってばかりの癖に、眠っている姿はそれに反してとても幼い。
頬にゆっくり触れると僅かながらぴくりと痙攣して、そして細い一重の瞳をゆっくりと開ける。
まだまだ寝ぼけ眼。けれどジーっとわたしを見つめ、そして自分の方へ引き寄せた。
何がどうして、こうなってしまったかは定かではない。
昨夜突然飲み会の場に呼ばれ、六本木のルナという会員制のバーに行った。そこには友理奈も居て、友理奈から西城さんとの関係を告げられた。
…わたしは彼女からそれを聞いた時、酷くショックを受けた。
そして何故か彼がルナまで乗り込んできて、無理やりマンションまで連れて来られた。そして何故かいきなりベッドに押し倒され、無理やりされそうになった。