【完】淡い雪 キミと僕と
わたしはあなたが好きなのだ。
それならば、もう許すしかないだろう。どんなに嫌いになりたくたって、もう今更なれそうもない。
それならば、もう清々しく好きな気持ちを認めるしかない。好きだと意識をしても、素直になれそうにはないけれど。
そして彼はその後家に泊ると言って聞かず、結局お風呂に入り、一緒に夕ご飯を作って、同じベッドで寝る羽目になってしまった。
ここまで説明すると、普通のカップルの日常のようだが、わたしには彼の考えなんて分からない。
用意しておいた部屋着は案外似合っていて
初めてやるなんて嘘なくらい料理の手際が良かった。
そして約束通り何もしないと言う事を守ってくれて、朝まで一緒に眠っていた。
あ、キスはされたが。それ以上は何もしてこなかった。
彼はわたしをどう思ってるのだろう…?
何とも思ってねぇよ。と、冷たく突き放されるのが容易に想像出来るので、口には出したくない。勘違いした女だとは思いたくないのだ。
どうせ今日家に泊まったのだって、キスをしたのだって、彼にとっては気まぐれのようなものなんだ。
だって西城さんは琴子さんが好きだし、友理奈のように遊んでいる女も沢山いる。
セフレの内のひとりになるなんて絶対勘弁だった。でも自分を琴子さんのように特別にしてくれと言うのは、おこがましい願いだと思う。
ねぇ、わたしってアンタの何なのよ?雪の世話をする家政婦?都合の良い時に側にいてくれる女?それとも特別な何か?
考えるのも馬鹿らしい。答えは無関心だろう。