【完】淡い雪 キミと僕と
しかしとて、聖人君子など、信じない。
誰にだって醜い心がある。
人と人は支え合うものなどと誰が言ったのだろうか。人と人は本質的には落とし合うものである。
なぁ~にが人と言う字は肩寄せ合ってだか、誰もが肩を寄せ合っていても、足元はがら空きで、いつでも引っかけ合う準備をしているものだ。
朝から夕方まで休憩1時間挟み、9時間労働。
残業は滅多には無いけど、たまにある。そうは言っても営業とかに比べたら全然マシなんだろうけどさ。
とにかく楽そうに見えたって夕方になる頃には疲労困憊で、脚もパンパンに浮腫み、顔も黒ずんでくるのだ。今年25歳。お肌も体も曲がり角なのだろうか。
それでも今までは帰ったらママのご飯が待っていた。
しかし一人暮らしを始めてからはロクに栄養のあるものにありつけていない。
大概はコンビニ弁当になってしまう。
’料理出来そう~’と勝手な先入観で周囲にいる男性は言う。けれどからっきし料理は駄目で、やる気さえ起らない。
一人暮らしを始めた際買った炊飯器を使用したのは、結局1、2回程だった。
満員電車に揺られ、更に体力は削られて
やっとマンションに着いて、エレベーターに取り付けられている鏡を見たら、疲れ果てた自分の姿がそこには映っていた。まるで生気のない顔だ。
一体何の為に働くのか。
スキルアップなど望めない職場で、ただ消費されていく体。さっさと結婚をして寿退社したい…。そして旦那のお金で優雅な生活を送りたい。
そんな甘えた考えがそもそもの間違いなのだ。