【完】淡い雪 キミと僕と

「明後日も、明々後日も、行くから」

いつもは偉そうな西城さんにしては必死な気がした。いつだって来たい時に自由に来ていた癖に。

合鍵だって持ってる癖に。何故に今更になってそんな確認のような事をするのよ。

「うん。じゃあ夕ご飯は作ってね?」

「何で俺がッ」

「だってアンタの方が上手じゃない…。」

「それはまぁそうだが…。ならばいっしょに作ればいい。料理の本を買っていくよ。いちいち携帯の小さな画面をスクロールするのは疲れる。
それと…あのアレだ。
もし良かったら週末は俺の家に来ないか?」

「は……?」

それは突然すぎる、思いがけない誘いだった。

何故か西城さんは瞳を左右に動かし、言いにくそうに言葉に詰まる。

「見たことないだろう?タワーマンションの最上階から見える夜景なんて。アンタのような庶民には滅多にお目にかかれるもんじゃない。
うちは東京タワーが見えるんだ。東京タワーだぞ?すごいだろう?それにキッチンもアンタんちみたく狭くないし、ほぼ使ってはいないが大きなオーブントースターもある。
びっくりするかもしれないが部屋も2つあって、浴室も大理石で出来ていて、俺のような高身長の男でも足を伸ばせる程広い。それに洗面所はふたつあってだな、これがまた便利だろう?」

「ちょちょ、ストップ!」



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