【完】淡い雪 キミと僕と
その日の仕事中は、ずっとニヤニヤが止まらなかった。
千田ちゃんにも突っ込まれる位。突っ込まれるというか、寧ろ褒められた。千田ちゃんはとても褒め上手なのだ。
’山岡さんっていっつも可愛いけれど、今日みたいに笑ってる方がずっと可愛いですね’、って。一瞬口説かれてるのかと思っちゃった。
今日は頬が緩みっぱなしなのだ。どんな嫌いな奴に会っても、優しい笑顔を向けられる気がする。
お昼休み、携帯を開くとラインが1件通知されていた。
’きっと西城さんだ!’何を根拠にそんな事を思えたかは知らないがルンルン気分で画面をタッチすると、そこには思わぬメッセージが届いていた。
『こんにちはぁ(*'▽')
佐久間潤です。分かるかな?この間ルナで会った潤です。
友理奈ちゃんからIDを聞いて勝手に追加しちゃいました~~
登録しといてね!』
S.A.Kの社長の息子。そしてFUMIE SAKUMAの孫息子。あの時ルナで出会った笑窪が特徴的な可愛らしい男の子だ。
お金持ちのお坊ちゃまだと言うのに気取った所ひとつ見当たらず、気さくで良い人だ。されど友理奈の友達。またわたしは嵌められるかもしれない。
連絡は返さないでおこう。友達追加も勿論却下。というか、ブロックしておく。佐久間さん自体は話していて嫌な雰囲気はしなかった。けれどもう…友理奈とは。
あれから莉子からは謝罪のラインが着た。莉子自体何も知らなかったらしく、あくまでも友理奈に誘われ善意でわたしを呼んだらしい。そして莉子も莉子でそういった意地悪をするタイプではないと知っている。