【完】淡い雪 キミと僕と

やっぱり不毛な恋などするものではない。

それは井上さんとの一件があってから痛い程分かっていた筈なのに…。

西城さんの事を好きになるなんて、夢にも思わなかった。けれど、人は半径1メートル以内で恋をする生き物だという。だから職場結婚が多いそうだ。

それを考慮して見れば、毎日のように一緒に過ごし、顔を合わせていたら誰だって恋に落ちてしまうんではないか?更に雪を子供だといい、疑似家族のような事をしていれば余計に。

だから、わたしが彼を好きになってしまったのは自然の道理つー奴なのではないか。まぁその原理を考えるとするのならば、彼もわたしを好きになっていなくてはおかしいが。

きっと西城さんはわたしの事など何も思っていない。




佐久間さんの事、ブロックなんかするんじゃなかった。

もう25歳になる。運良く彼と付き合えて結婚になればこんなわたしだって社長夫人だ。もう社長夫人に拘っている訳ではない。

ただただ叶いそうにない恋の痛みから逃げたくって、誰かの優しさに甘えたかった。

変わりたいと何度も思うのに、そういう所わたしはちっとも変っちゃいなかった。



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