【完】淡い雪 キミと僕と
12.大輝『少しずつでいい。俺の事を好きになっていって欲しい。』

12.大輝『少しずつでいい。俺の事を好きになっていって欲しい。』




女性を自宅へ招待するのは生まれて初めての経験だった。

女つーのは詮索好きの生き物だから、うっかり家にでも入れて自分のプライベートな事を知られてしまうのが嫌だった。

ここはあくまでも自分だけの安心出来る場所。…最近はろくに帰れちゃいないが。仕事が忙しいのもあって会社に泊まりこむ事もあれば、それ以外の時間はほぼ美麗の家に居た。

せまっ苦しい1Kのマンション。けれど、居心地は悪くない。美麗と雪といる時間が何より好きだった。そしてもう気づいてしまったのだ。自分の気持ちに。

―美麗が、好きだ―

いつからかは知らん。さっして問題ではない。今現在美麗が好きなのが最も重要なのだ。

きっとそんな想いを伝えてしまえば、この間まで琴子さんが好きだったのに節操のない男ね、雪と一緒じゃない。くらいの嫌味は言ってくるだろう。あの生意気な口で。

全く、ベッドにいる時は素直で可愛らしい声を出していた癖に。

しかし、ちゃんと時間を掛け、好きになった。苦手で嫌いな部類の女を好きになるとしたら、それはもう最強の好きなのではないかと思う。

早急に告白し、早急にお付き合いを始めたいと思っている。

…いや、これは俺の身勝手な考えなんだが。そこには美麗の気持ちが伴わないと何の意味もない。

美麗は恐らく…俺のような男は好きではないと思う。

自分で言っていて虚しくもなってしまうのだが、まだ井上晴人を好きかもしれない。けれど自分の気持ちに気づいてしまった以上、その想いを消化しないと精神上よろしくない。


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