【完】淡い雪 キミと僕と
だから今週末、美麗を自宅のマンションに呼んだ。
俺は琴子や井上晴人とは違う。自分の想いに気づいた後はグチグチ悩んだりしない。振られようがなんだろうが、ハッキリと想いは伝える。
だってそうでもして振られておかないと、また自分の欲望だけで美麗を襲いかねん。きっぱり振られたら、もう美麗のマンションには行かない。
…雪には会いたいから週1回は面会時間を設けさせてもらう。俺の猫だから俺の家に連れてきてもいいのだが、きっと彼女は泣いてしまうだろう。
そう考えれば雪が羨ましい。いつだって美麗と一緒に寝て、抱きしめてもらえるんだから。猫っていうのはお得な生き物だ。
2LDKのタワーマンションで美麗が釣れるとは思っちゃいない。
けどさ、全然帰っていないとはいえ、このマンションは中々お気に入りなんだ。
窓が沢山あって、昼は光りが降り注ぐ。夜になれば東京タワーが見えて東京中の夜景を一望すると、この世界を全て自分の手の中に収めた気持ちになるぞ?
家具はシンプルな物で統一したが、これでも拘りがあり、特注品なんだ。けれどもしもアンタが趣味の悪いヨーロッパちっくの白い家具に代えたいと言うのならば、それは甘んじて飲むつもりだ。