【完】淡い雪 キミと僕と
「光熱費、安くないんだからッ」

「ケチな女だな。わぁーったよ。俺がいる間は光熱費は払う。
ほら、1日1万で文句はないだろう?」

「そういう問題ではなくて、いただきますけど」

「結局受け取るならグチグチ文句言うんじゃねぇよ」

それはそれは助かりますけど。

1日1万は破格な値段ですし、生きて行くのにはお金が必要ですし
くれると言うのならば、有難く頂戴する。だって、大嫌いな猫の面倒まで見てあげているのだから。

それは当然の権利なのではないか?!と、自分に言い聞かす。



こいつはそう言った男なのだ。金で物事は全てまかり通ると本気で思っている。

実際ある程度の事はまかり通ってしまうのだけど、生まれ持ってお金持ち。人生はきっとイージーモード。

わたしだって一応小さくとも会社社長の娘だ。それなりに裕福では、あった…。でも西城さんは次元が違うお金持ちなのだ。

そんな事で卑屈になっても仕方がないのだが、こっちはちみちみ電気代の事でケチケチ生きて、惨めったらありゃしない。


「そういえばな!」

人の気もお構いなしで、西城さんは嬉しそうに目を瞬かせた。ごくたまに、子供みたいなところがあるのもこの人の特徴であって

幼き少年が新しい発見をしたがの如く、目を輝かせるのだ。

けど、大抵は下らない事だろう。

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