【完】淡い雪 キミと僕と
「違うわよ。ノエールでランチしてから新宿で買い物してるの…。
何だって言うのよ、もう……
今お買い物も終わった所だから直ぐに家に帰るわよ」
「帰る必要はない。新宿ならば1回家に帰るよりそのままうちにきた方が早い。
ラインで住所を送っておく。だからそのまま来い」
「え?だってそれじゃあ雪は?」
「雪ならもううちにいる!」
「何でよッ。あ!アンタまさかわたしがいない間に家に入ったわね?!
サイッテー。訴えるから不法侵入で」
「見られて恥ずかしいのなら洋服や化粧品くらいしまっておけ」
「無神経男ッ!」
そう捨て台詞を残し、美麗は勝手に電話を切った。
生意気な奴め。
マンション内で寛いでいる雪の写真と共にマンションの住所をラインで送ると『誘拐犯!』と一言だけ返事が返って着た。
人聞きの悪い事を言う。元々は雪は俺の猫だ。
そうだなこういう手もある。もしも、こんな事はあってはならない事だが、あいつが俺の告白を断ったりしたら、雪の親権は俺が貰うと脅せばいいのだ。
そんな最低な事を考えていたら、目の前の雪が曇りなき瞳を揺らしながら可愛い声で鳴くもんだから、今自分が考えていた事が恥ずかしくなってしまう。
美麗が俺を好きじゃないのならば、これから好きにさせればいいだけなんだ。
数10分後携帯に着信が入り、不機嫌そうな声を出しながら「着いた」とだけ告げた。
声を聴いただけで分かる。結構怒っているらしい。