【完】淡い雪 キミと僕と

「なんだか今日は化粧が濃くないか…?」

「別にお出かけするんだからお洒落くらいしたっていいでしょ?
それより西城さんのマンション凄いわね。タクシーで着いた時、思わず見上げちゃった。
それにフロント?ロビーもホテルみたいに綺麗。…玄関も尋常じゃない広さね」

「まぁな。そりゃーアンタの犬小屋に比べたらな。
取り合えず上がれよ」

犬小屋と言えば少しムッとした表情を浮かべたが、お邪魔しますと言って靴を揃えた。

美麗の履いていた靴は俺がプレゼントしてあげた物だった。綺麗に磨かれている。それを見て、ほんの少しだけ嬉しくなった。

「え?!何よこれ!」

予想以上の反応を見せてくれて結構。

大分興奮しているようで、彼女は広い部屋を行ったり来たり。それについて回る雪も傍から見れば微笑ましい。

「あれ、東京タワー?!
てゆーか窓がおっきい!東京が一望出来るなんてすごいわ!」

「キッチンも大きいし、お洒落だわ。
これが言っていたオーブンなのね、備え付けてあるなんてさすがタワーマンションね。
コンロも3つもあるッ!ママは実家が2つしかないのが不満みたいなの。きっと見せたら羨ましがるわね~」

「部屋はいくつあるの?!
リビングだけで充分生きていけそうな広さだけど
わぁお風呂も素敵!外国みたいッ。え!洗面台のも2つあるの?これだったら取り合いになる事ないじゃない」

部屋中動き回り、物珍しそうにその大きな瞳をキラキラと輝かせる。

やっぱり可愛いな。こういう所。


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