【完】淡い雪 キミと僕と
「まぁ、落ち着けよ」
「わぁー。トイレも広ッ。凄い。凄いねぇ~雪」
どうやら人の話を聞くつもりはないらしい。
雪を抱きながら、窓の前に立ち上機嫌で外の景色を眺めている。
君が喜んでくれて何よりだ。君さえ望めば、ここで一緒に暮らしても構わないもんなのだが。
「まぁお茶でも出すよ。君はソファーにでも座っていなさい。それに美味しいお菓子もある」
ソファーに座るよう促すと、彼女は大きなソファーの上で雪と共に跳ねたりジャンプしたりしてはしゃいでいる。
…全く無邪気なものだ。
昨日のうちに、ネットで評判の良い紅茶とお菓子を買っておいた。
俺は駄菓子の方が断然美味しいと思うが、宝石箱のような淡いキラキラとしたマカロンやらチョコレートを買ったばかりの食器の上並べる。
そんな事をしていたら、いつの間にか美麗はソファーから移動していて、大きなテレビ画面に夢中になっている。
…テレビなんて滅多に見ないから、それはインテリアの一部と化している。
「ねぇ、テレビもすごく大きい。これで映画なんて見たら映画館にいる気分になれちゃう」
「プロジェクターも完備されている。良かったら今度映画でも借りてきて一緒に見よう。
まぁお茶でも飲め」
そう言ってテーブルの上にお茶とお菓子を出してやると、それを見た彼女は再び目を輝かせた。
さすがは女子に人気のスイーツと書かれていただけの事はある。マカロンはカラフルだし、チョコレートにはドライフルーツやらキラキラしたアラザンが乗っていてとても可愛らしい。
ふわふわとした女の子らしいお菓子は、まるで美麗そのものだ。
目を輝かせたかと思えば、少し顔を上げてこちらを睨みつける。相変わらず表情がコロコロと変わる女だ。