【完】淡い雪 キミと僕と
「まさか……わたしを太らせるつもりで…」
「はぁ?」
「アンタならやりかねない…。ノエールで美味しいケーキセット食べてきたばっかりなのにぃ~…。
素敵だったのよ。わかる?あの外国とかにありそうな…
3段になっていて、サンドイッチやポテトもあって、1番上の段にはケーキが乗ってるの!
ドリンクもついてて、スコーンもついてるのよッ」
「あぁ…アフタヌーンティーの事か…。そう言えば菫さんが推していると言っていた。
今はパンケーキよりもブームだからって」
「そう。菫さんから聞いていたの、まぁいいわ。とにかく素敵だったわ。
けれどカロリーは怖いと思っていた所。それをまたこんな素敵なお菓子を出してきたら食べたくなってしまうじゃない…」
いや、食べてもらうためにわざわざデパートで買って来たんだが?君が食べてくれないと困るじゃない。俺は甘いものは苦手だから。
恨めしそうにこちらを見ていたが、マカロンをひとつ手に取ると幸せそうに眼を細め「おいッしー!」と頬を両手で押さえながら喜ぶ。
…結局は食べるのだから最初から文句ばかり言わず食べればいい。
「このお茶も美味しい。紅茶ね?匂いが柑橘系なのに、味は甘いわ…
素敵…」
「不味いお茶だ…」
口にいれたら変な香料が香った。俺にとっちゃ全くタイプではないが、美麗が喜んでくれるならばそれで良し。
空も既に真っ暗になっており、大きな窓からは東京の夜景が一望できた。
紅茶を飲みながら彼女はそれに目を奪われ、にこにこと笑いながら眺めている。