【完】淡い雪 キミと僕と
「本当にすごーい
夜になるとまた格別ね。きっと朝も夕焼けが沈む時もロマンチックよね。
西城さん、こんな素敵なお家に招待してくれて、ありがとう…。
それにわざわざお菓子も買いに行ってくれたんでしょう?…そんな気を遣ってくれなくても良かったのに…
でも嬉しいわ…。こんな所、もう2度と来れないかもしれないし…。本当にありがとう…」
窓に手を充てながら、素直な言葉を口にする。
その嬉しそうな笑顔は、俺が1番大好きな物だ。
抱きしめたい。そう思った瞬間にはもう、彼女を抱きしめていた。
また髪から、シャンプーの良い匂いが香る。
「え?」
少しだけ困惑している。
腕の中、顔を上げて上目遣いでこちらを見つめる。
ピンク色のチークとお揃いでピンクのグロスが引かれている。
この東京を見渡せる夜景よりも、君の方がずっと綺麗なんだ。 そんな使い古された言葉を吐きたくもなるくらい、恥ずかしい程美麗が好きだ。
「何よッ。どうしたの?」
「今日は美麗に話があって」
「話?てゆーか西城さんの胸すごくドキドキ言ってる」
「それは違う。アンタの胸がドキドキしているんだ。」
「いや絶対西城さんだし…」
頬の赤みは、チークのせいではない。確かに俺の心臓もいつもよりかは速く鼓動を刻んでいるが、美麗だってそうだ。
振りほどこうとはしなかった。俺の胸にすっぽりと収まる華奢な美麗は、また大きな瞳を瞬かせ、こちらを見つめる。