【完】淡い雪 キミと僕と
「猫がトイレで用を足したんだよ!」
だから?と言いたくなる。
そりゃー猫もしたくなればトイレくらいするでしょうよ、と。
「アンタの用意した、この簡易トイレでだな?!
ちょろちょろとな。こいつはもしかしたら物凄く頭がいいのかもしれない!」
そんな事を本気で言うなんて、わたしは今あなたが本気で頭が悪いのかもしれないと思ったところです。
猫って生き物は、自分の匂いが染みついた砂の上で用を足す習性らしい。だから使わなくなったプラスチックの容器の中に猫砂を入れておいた。
それの、何を、嬉しそうに目を輝かせて言っていると言うのだろう。
子猫を抱き上げて、お前はすごい奴だ、と言うと、それに応えるように、みゃあ、と小さく鳴いた子猫は、とても嬉しそうに見えた。
世間知らずというかお坊ちゃま気質というか、ごくたまにこの極悪な男が、酷く純粋に見える瞬間がある。初めて出会った頃は、この男の内面などちっとも見ようとはしなかった。
お金とステータス。
持っている肩書きとか。西城さんはそんなわたしの浅ましい思考など、出会った時から見抜いていたかのように思う。