【完】淡い雪 キミと僕と
13.美麗『わたしも、あなたが好きよ』
13.美麗『わたしも、あなたが好きよ』
ベージュのワンピースも薄茶色のショートコートも、先ほど千田ちゃんと一緒に買い物に行った新宿で購入したものだった。
今度気になっている人とデートをするという千田ちゃんのの洋服を一緒に選んでいる時、ふと目に入ったものだった。
初めて西城さんの家に呼ばれた。落ち込んだり、浮かれたりしていたけれど、やはり喜びの方がずっと強くて、彼が買ってくれたブーツに合うように店員さんにコーディネートしてもらった物だった。
そして彼のマンションに着いた瞬間唖然としてしまった。
都内のタワーマンション。最上階だと言っていた。
そりゃあ西城グループの一人息子が暮らしているマンション。普通のマンションではない事は分かっていた。…しかしこれまでとは。
またひとつ、彼と自分の違いを身をもって知らしめられる形になってしまった。
彼は、こんな大きく豪華なマンションの最上階に住める人間。けれどわたしは、所詮東京の片隅の小さな1Kのマンションにしか住めない身分。それが少しだけ悲しかった。
外観だけではなく、中身も圧巻だった。
彼が偉そうに自慢していた以上の物で、リビングだって広くて、窓が多くてその窓もとても大きい。そこから見える景色は、全てを手にしてきた人間だけが見れる光景だ。
美味しいお茶とお菓子までわざわざ用意してくれて、そのお菓子はデパートに売っているような高級菓子で、もっぱらコンビニにお世話になっている自分には本来ならば縁がない物だ。