【完】淡い雪 キミと僕と
「混乱?いや、混乱しなくっていい。今日は俺の気持ちを知っておいて欲しかったというか…
別に俺だって今すぐ自分を好きになれと言う程傲慢な男ではない。
これからは少しずつであるが君好みの男になれるように努力をしようではないか。
井上晴人のように少しぼんやりしてみる事にする。俺はこういう性格だから少しせっかちな所がある。もっと人生ゆっくり歩んでもいいと思っていたところだ。
ああいったぱっちり二重の男が好きなのであれば、整形もやむを得ないのかもしれない。まぁ、俺は自分の奥二重はかなり気に入っているんだが、アンタがそういった男がタイプであれば優秀な医者を探すよ。
生まれ持ったものだから、あいつのような天然にはなれないが…」
べらべらと喋る西城さんはえらく必死だった。井上さんのようにぼんやりしてみるなんて…それは彼に失礼よ。彼は自分では意識せずあの性格なんだから。
それに整形なんて…考えがお金持ちなのよ。生まれ持った顔を大切にしなさいよ。あなたの一重にしか見えない奥二重、わたしは嫌いじゃないわ。
そしてあなただって井上さんに負けず劣らず天然なのよ。それに気づいていない所が証拠よ。
「馬鹿じゃないの…」
「あぁ…アンタを好きになるなんて頭がおかしくなったとしか思えない。
医者に診てもらおうとも思ったんだが、アンタを見てドキドキしたり可愛いと思えてしまうなんて
一緒にいたいなんてもうこれは恋としか思えないんだ」
本当に口の減らない男だわ。この期に及んで。
わたしを好きになったのが、頭がおかしくなったですって?わたしは…あなたほどではないかもしれないけれど、結構モテるタイプなのよ?
それをもう…ほんっと。涙が引っ込んで思わず笑ってしまう程、あなたは面白い人だわ。