【完】淡い雪 キミと僕と
「くッ。やっぱり井上晴人には勝てないのか…」
「だからアンタ馬鹿?
アンタは2番。雪が1番。
ね~?雪~?」
雪にそう問うと、雪はまた嬉しそうに鳴き声を上げた。
「それはアンタ…実質俺が1番好きだという事じゃないか…」
「うるさいなぁー何度言わせれば気が済むのよ」
「う、うるさいだとッ?なんだ、アンタ。
大体に俺の事が好きならば素直に好きだと言えばいいじゃないか。全く俺の口から言わせるなんて生意気な女だ。
まぁアンタが俺の事を好きにならない訳はないと思っていたんだがな、なんていっても俺は世界の西城グループの跡取り息子西城大輝だ。
答えなんか聞くまでもなく、アンタが俺を好きだと言う事にはとっくに気づいていた。それでも告白は男性からするものだ。今回ばかりは君に華を持たせてあげるよ」
だから何故いきなり傲慢?!
さっきまで硬直して、真っ赤になってた癖して。
呆れるわ。でも自分でも呆れかえるほど、あなたが好きよ。
「それより、お腹空いちゃったわ。ご飯作って食べましょう。炒飯食べるんでしょ?」
あなたもあなたなら、わたしもわたしよ。
ツン、とした性格は直りそうもないし、照れ屋な所も当分変わらないでしょう。
すごく嬉しくて仕方がない癖に、それを表現するのは何故かあなたの前だと出来ないのよ。
雪を床へ降ろし、キッチンまで行こうとすると不意に彼が腕を掴む。
振り向いたら、深い深いキスを落とした。
「ん~…ッ」
終いには、ワンピースにまで手を掛けようとするもんだから、それを力強く拒否した。
拒否された彼はまるで不服と言わんばかりに眉をしかめる。