【完】淡い雪 キミと僕と
「何すんのよッ。変態!」
てっきり言い返してくるとばっかり思っていたら、意外な事に彼はハッとした顔をして
しょんぼりと視線を下へ向ける。
…何よ、そんな顔をされたら悪い事をしてしまったみたいじゃないのよ…。
「だって…ずっと我慢していたんだぞ…。
俺はアンタと一緒に寝ると…何故か余りないと思っていた性欲つーもんが溢れ出す…」
だからよくいけしゃあしゃあとそんな言葉を吐けるものよ。恥じらいを持つべきなのはアンタの方じゃない。
何まさか、こいつわたしの身体目当てなんじゃあ…。両手でバッと自分の体を隠し、彼へ軽蔑の眼差しを落とす。
…そりゃあわたしの身体は魅力的かもしれないけれど…。
「まさか、アンタ…わたしの身体目当てなんじゃあ」
真剣に言うと、一瞬きょとんとした顔をし、そして直ぐに大笑いした。
不覚だが、その笑顔を見てキュンとしてしまったわたしは末期だろう。
「アーハッハッハッ。本当にアンタは面白い事をいう女だ。
何故俺が望んでその無い乳を?ぺったりとした色気のクソもないお尻を?
何を持って自分の身体にそこまでの自信があるのか理解に苦しむ」
既にいつもと変わらぬ意地悪な笑みを浮かべる。
人を馬鹿にする男のわたしへの悪口はもはや生きがいだ。
好きだと言ったくせに、あんなに焦ってテンパって訳の分からない御託を並べていた癖に、こっちが気を許したと思った途端にコレだ。
拳を握り締め、ぶるぶると震え顔を真っ赤にするわたしを見て、彼はとても満足そうに不敵に微笑う。
…結局はこいつには敵わない。