【完】淡い雪 キミと僕と
「大丈夫だ。安心したまえ。その貧相な身体であれ、十分に満足する程俺の心は広い」
「別に好きと言ったけれど、付き合うなんて一言も言っていないわよ。だからそういった行為もするつもりはないわ」
「なッ!お互いに好き合っている男女が付き合うのも身体合わせる事も自然な行為ではないか!
そんなのは許さんッ。てゆーか俺はアンタとそういう事をしてから女とはしていないので、溜まりっぱなしなんだぞ?!
一緒に眠った時も我慢させておいて……それはねぇだろ…」
「そんなの知らないよッ!それに今日はどっちにしても出来ないから。女の子の日だし」
「あ…確かにそうだったな…それは致し方がないというか何と言うか…」
うーんと言って何かを思い詰めたように考える彼。
わたしだって、彼に抱かれたい。だってとても居心地が良かったし、今度は素直な気持ちで抱かれたい。
きちんとお互いの想いが繋がっているのを感じながら行う行為ならば、悲しい気持ちにはもうならない。
そう伝えようとしたら、西城さんは大真面目な顔をして言った。
「俺は余り気にはしないんだが…
それならばこれはどうだろう。お風呂ですると言うのは…?」
余りにも真面目な顔をして馬鹿な事を言うもんだから、溜まらず笑った。
やっぱりアンタは天然よ。井上さんの事を言えない程に。
馬鹿ね、とだけ言い残しキッチンまで行くと、それならこれはどうだ?!と言いながらあり得ない提案をする。
真面目か不真面目かは知らないけれど、あなたがわたしを好きだという気持ちは、ちゃんと伝わったわ。
素直にそれは嬉しかった。