【完】淡い雪 キミと僕と
「それに口は悪くても優しい所も好きだし、雪を大切にしている所も好き。ママとパパと仲良くしてくれる所も好きだわ
後、一重も目も結構好きよ」
「一重じゃないッ!」
そう言い残し、とうとう彼はこちらへ背中を向けてしまった。
後ろを向き深呼吸している姿を見ると、どうやら自分を落ち着かせているらしい。
面白い人だわ。やっぱり。ゴホンッと数回咳払いした後、こちらを向いたがまだ頬はほんのり赤かった。
「俺は……アンタの純粋な所が好きだ」
「はぁ?!わたしのどこがッ…」
過去に、港区で男漁りをしていたような女よ。それは西城さんだってよくご存じじゃないの。
だからどこをどう見てわたしが彼の目によって純粋に見えたかは、えらく疑問ではある。
「出会った時はとても嫌いだった。それに苦手だったし…。
昔言ったろう。俺は一途にひとりを想える女が好きなんだって、まさかアンタがそういうタイプだとは思ってはいなかったが
アンタの井上晴人に対する想いは本気だった。それは悔しいが…。そして一緒にいるうちにアンタは俺が思っていたような女とは違うと思い始めた。
それに、俺もアンタといるのは面白い。何気ない会話でも笑える。一緒にいて楽しい気持ちになる。」
「ふ~ん」
素っ気ない返事をしたけれど、飛び上がりたい程嬉しかった。
言葉に詰まりながら、照れてわたしをいかに好きかと話す西城さんはとても可愛らしかったから。
そんな話をしながら炒飯はほぼ西城さんの手によって出来上がった。
真新しいお皿にそれを盛って、テーブルに持っていきふたり手を合わせて食べる。 横で雪もご飯を食べていた。